2014年7月26日土曜日

アメリカのベンチャー・インキュベーション



こんにちは。



現在、ITA, Inc でインターンをしております、akihiroと申します。


ITAには現在3名のインターン生が働いています。私を除く2名は若い大学生(おそらくITAに来るインターン生のほとんどは大学生)なのですが、私は社会人経験者で、現在アメリカ大学院留学中、夏休みを利用してインターン生としてお世話になっています。


人格者で経験豊富、かつエネルギッシュな社長と、同じくエネルギッシュでアグレッシブな若者に囲まれ、毎日が勉強です。




さて、早速ですが、今回は、先週、ITAの岸岡社長に連れていっていただいた、アメリカのベンチャー・インキュベーション・センターについてご報告したいと思います!


訪れたTechnology Innovation Centerは、シカゴ郊外のエバンストンにあります。今回は、同センターのDirectorであるTimさんに施設を案内してもらいました。






センター内には大小さまざまな部屋があり、たくさんのベンチャー企業が入っています。ベンチャー企業と一口に言っても、その規模は様々です。一人でやっているところもあれば、数十人のスタッフを抱えるベンチャーもあります。


例えば、写真下部(1階部分)は比較的大きなベンチャーのオフィスですが、上部(2階部分)に見える部屋には比較的小さなベンチャーが入っています。


最初は1つの小部屋だけ使っていたベンチャー企業が、次第に大きくなり、複数の部屋を借りるといったケースもあるようです。スペースのフレキシビリティもこのセンターの魅力の一つです。





入居ベンチャーの中で面白いと思ったものをいくつか。



<その1>

会議の録音データ等、複数の人の声が同時に録音されたデータから、特定の人の声のみを抽出する技術を元にビジネスをしているベンチャー。内容もさることながら、このベンチャーは大学の元物理学教授が引退後に始めたベンチャーであることがすごい。何歳からでも遅くない、これがアメリカの企業家精神!

<その2>

企業や研究機関のデータ・アーカイブのITソリューションを提供するベンチャー。このベンチャーの主催者は、ITと歴史学、両方の博士号を持っているとのこと!今まで聞いたこともありません。史料編纂等の知識とITの知識を融合し、独自のソリューションを提供しているそうです。多様なバックグラウンドを持った人が独自の価値を提供する、これがアメリカのイノベーション!

<その3>

社会貢献したい人と助けを求める人をつなげるベンチャーNPO。自分のお金を、自分の判断で効率的に社会貢献のために使いたい人がいる一方で、医療費が払えない、日々の食事をするお金がない社会的弱者もいます。これらの人たちが直接つながる機会はなかなかない現状を変えるため、このNPOは、ウェブサイトを通じてその機会を提供しています。世のため・人のために企業する、これがアメリカのパブリック・マインド!
http://www.benevolent.net/index.html





Technology Innovation Center は、単にスペースを提供しているだけではありません。センター内には談話室など、交流の場が設けられています。歴史学とITが結びつくわけですから、物理学とNPOが結びつき、新たなサービスが生まれるかもしれません。イノベーションのアイデアを持っている人たちが集まり、更なる新しいイノベーションを生み出す場、それがこのセンターです。


さらにさらに、同センターは、起業に伴い必要となる業務・・・労務、会計、税務などなど・・・のサポートも提供しています。非常に複雑な業務である上、ベンチャーには専門の担当者を雇うお金はなかなかありません。起業家たちとって、かゆいところに手が届くサービスを提供しているのです。





話はこれで終わりません!同センターは別の建物にもオフィスを持っています。その建物がこちら。






ホテルのようです。郊外にある総合研究開発(R&D)施設で、大手の製薬会社なども入っています。


同センターがこの建物内に持っているのが、研究開発系のベンチャー向けのインキュベーション・センターです。







センター内はパーテーションで区切られ、各ベンチャーのオフィス・スペースとなっています。さらに奥に進むと、ラボ(研究設備の整った部屋)があります。学校の理科室をパワーアップした感じの部屋だと思ってもらえればいいと思います。



Timさん曰く

「起業家はまずお金を集める必要がある。お金を集めるには自分たちの持つ技術が素晴らしい技術であることを証明する必要がある。そのためには、言葉だけではダメで、根拠となるデータが必要だ。しかし、データ収集のために実験施設を作るお金は彼らにはない。ここは、そういった人たちに研究・実験のための施設を安価で貸しているんだ」





岸岡社長に伺ったところ、日本にもベンチャー支援をしているところはあるが、単にオフィスを貸すだけで、このような総合的なサービスを行っているところはないとのこと。


アメリカでは、AppleやFacebookなど、ベンチャーから大企業になったサクセス・ストーリーをよく耳にしますが、日米の起業文化の違いは、単なる国民性の違いではなく、キックスターターなどの資金集めシステムに加え、このセンターのようなサポート体制の違いが大きいのかもしれません。


0 件のコメント:

コメントを投稿